■トランペッター1/35キット(その2)■

00215 Moeser Karl-Geraet 040/041
2004年秋に発売になった2種のキットに引き続く,
トランペッターによるカール第3弾である。
既発売のキットは,
カール本体以外に輸送用貨車を含んだ「豪華大型キット」であったが,
貨車は不要であると思ったり,
パッケージの大きさと価格のために購入を見合わせた方もいたのではないかと思われる。
今回のキットでは輸送貨車は省き,
その代わり(?)
にシャーシと足回りを8転輪タイプ(I〜II号車)と11転輪タイプ(III〜VII号車)の2種類とも入れ,
かつ砲身も60cm砲身と54cm砲身の2種類の選択式としている。
その結果カールのどのタイプも製作可能な,
見た目の豪華さというより内容を充実させたパッケージとなっている。
ドラゴン流の呼び方で言えば「4 in 1」であり,
ある意味ではカールのキットとしては「是非こうあって欲しい理想的な」形とも言える。
箱絵も従来のトランペッター製品より格段にかっこいい。
価格もドラゴンのカールよりも安価に設定されており,
最初からこの内容とこの価格で発売していれば大ヒットだったのではあるまいか。
さらに「オマケ」として,
アルミ製の砲弾2個(60cm schwere Betongranateと60cm leichte Betongranateが各1個),
砲兵8体(以前は砲兵セットとして別売りだったもの)が付属している。
その他は基本的に前作から変更はないようだ。
エッチング・パーツも,レイアウトこそ違うが内容は前作と同じで,
唯一アルミ製砲弾のディテール・アップ用のパーツが追加になっている。
デカールも内容は同じである(シート自体は新規)。
キット内容に変更がないので,組立説明書も基本的に変わっていないが,
塗装例がカラー印刷で別に用意された。
トランペッターは本キットと同時に
弾薬運搬車のキットも発売している。
◆組立説明書の補足◆
▼重要▼
キットの組立説明書では,
"Firing mode"と"Travelling mode"のどちらかを選ぶようになっている。
説明書にしたがってFiring modeに組むと
「サスペンションが下がって」「車体左右の作業デッキが展開」された形態に,
Traveling modeにすると「サスペンションが上げられ」
「作業デッキが折りたたまれた」形態になる。
本サイトでは,カールの運用上の形態を下記のように分類して呼んでいる。
- (A)自走状態:文字通り自力で走行する状態
- (B)射撃状態:射撃位置についたのちに,装填,照準,発砲作業を行う状態
- (C)貨車輸送状態:専用の貨車に積まれている状態
- (D)運搬状態:砲身,砲架を分解されて,
クレマイヤー・トレーラーに積まれて運搬される状態
これら4つの状態とサスペンションなど車体各部の形態の対応関係は
「カールの形態とキット」ページの表1に示してある。
トランペッターの組立説明書のFiring modeは本サイトの分類では(A)自走状態にあたり,
Traveling modeは本サイトの呼び方では(C)貨車輸送状態になる。
すなわち,弾薬運搬車などと並べて射撃陣地での形態を再現するのにふさわしい
(B)射撃状態を組むやりかたは組立説明書には示されていない。
(B)射撃状態にするためには「サスペンションを上げて車体を地面につけ」「作業デッキを展開」
した形に組む必要がある。
本キットには輸送貨車は含まれていないから,(C)貨車輸送状態を製作する意味は全くないので,
本来は(A)自走状態と(B)射撃状態の選択式として編集されているべきであろう。
現在の組立説明書は不備であると言わざるを得ない。
具体的には下記のように訂正するのがよいと思われる。
- 初期型シャーシ組立ステップ4, p.6
サスペンションは射撃状態ではアームを上に上げ,
自走状態では下げる。
記述訂正
- 「Travelling mode」→「Operation mode/射撃状態」
- 「Firing mode」→「Automotive mode/自走状態」
- 初期型シャーシ組立ステップ8, p.10
記述訂正
- 後期型シャーシ組立ステップ2, p.12
サスペンションは射撃状態ではアームを上に上げ,
自走状態では下げる。
記述訂正
- 「Travelling mode」→「Operation mode/射撃状態」
- 「Firing mode」→「Automotive mode/自走状態」
- 後期型シャーシ組立ステップ3, p.13
記述訂正
- 車体上部組立ステップ4〜5, p.17〜18
このステップは作業デッキを折りたたんだ状態の組み方の説明。
射撃状態では作業デッキを展開した形に組み立てるのでこれらのページは不要。
自走状態では作業デッキは折りたたんでいても展開していてもよい。
記述訂正
- 「For travelling mode」→「For automotive mode/自走状態」
- 車体上部組立ステップ6〜7, p.19〜20
このステップは作業デッキを展開した状態の組み方の説明。
射撃状態ではこの形にする。
自走状態では作業デッキは折りたたんでいても展開していてもよい。
記述訂正
- 「For firing mode」→「For operation mode/射撃状態」
- 車体上部組立ステップ20, p.30
このステップで砲架を車体に乗せるが,その位置が曖昧である。
射撃状態にするなら車体後方(砲口の向いている側)いっぱいまで寄せる。
自走状態にするなら砲架は後座位置(操縦手席側すなわち車体前方)いっぱいまで下げる。
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p.6

p.12
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組立説明書で気になる部分について挙げてみた。
- 車体上部組立ステップ2, p.15
これは間違いではないが一応指摘しておく。
排気管のパーツとしてM23, M24が指定されているが,
キットにはこれ以外にK21, K49というパーツが含まれている。
K21, K49には排気管の延長部分(K1, K27)を接続するフランジがモールドされており,
M23, M24にはこのフランジがない。
長い排気管のパーツ(K1, K27)は不要部品となっているが,
特定の車両の特定の時期を再現したければこちらを使うべき場合があるので注意。
- 車体上部組立ステップ8, p.20
実車の車体後面下部には間隔表示灯と尾灯,バール等が装備されており,
キットにはちゃんとそのパーツもあるのだが,
組立説明書には取り付け指示がなく,
またシャーシや後面パーツ表面にも位置を示すダボやガイドのモールドもない。
間隔表示灯(N17)は後面向かって左下,尾灯(N16)は向かって右下,
バール(N19)はその間に付く。
「カール各車の相違点」のイラストを参照のこと。
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- 車体上部組立ステップ9, p.21
車体前面パーツ(M20)に梯子をつけるため穴を開けるようになっている。
11転輪シャーシ(Nr.III〜VI号車)では「L」の位置,
8転輪シャーシ(Nr.I〜II)では「E」の位置との指示であるが,
8転輪シャーシでもNr.IIの方は11転輪シャーシと同じ位置に梯子が装備されていたらしいので,
「L」の位置に穴を開ける。
(「カール各車の相違点」のイラストを参照)。
- 車体上部組立ステップ20, p.30
このステップで砲架を車体に乗せるが,その位置が曖昧である。
射撃状態にするなら車体後方(砲口の向いている側)いっぱいまで寄せる。
自走状態にするなら砲架は後座位置(操縦手席側すなわち車体前方)いっぱいまで下げる。
■メーカー・サイト■
Trumpeter Model
更新の頻度はあまり高くない
Interallied
日本国内代理店
■レビュー,製作記事■
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http://www.geocities.jp/shige122112/070125.html
Dr. Shige's Tank World
に掲載のZiuの作例。
-
モデルアート, No.742, 2月号, 2008.
11転輪のカールと弾薬運搬車(IV号D型ベースの#362)の製作記事とジオラマ。
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Created: January 21, 2007
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