■ハセガワ1/72 運搬貨車■


ミニボックスシリーズNo.32
ドイツ600mm自走臼砲「カール」貨車付(1976年発売)

MT57 60cm自走臼砲カール量産型
w/ 運搬貨車 (2006年発売)

新旧2つのキットで運搬貨車については一切変更はなく, 全く同一のパーツになっている。

右の写真はストレートに組んだものである(塗装はしていない)。 実車の特異な形状の雰囲気をなかなかよく捉えていると思うが, 細部に目を移すと少々気になるところも出てくる。 本キットの主な問題点としては以下のような点が挙げられる。
  1. 貨車全体
    前後2台の運搬貨車は, 基本構造は同一であるが搭載されている装備品に一部違いがある。 キットは2台とも全く同じに設計されてしまっている。

  2. 吊り下げアーム
    カールを吊り下げる大型のアームのパーツは, スライド金型を用いて各面のリベットを再現してあるなど, このキットの見せ場の一つとなっている。 実車ではアーム表面のディテールが実は左右の面で非対称になっている部分があるのだが, 残念ながらキットでは再現できていない。

  3. 吊り下げアーム基部
    アームの大型の支持柱の形状が実車とかなり違ってしまっている。 キット開発時に十分な資料がなかったためだろうか。

  4. ジャッキ部
    カールを貨車に搭載(もしくは連結?)する作業中に, アームを上下したり支えたりするためにジャッキが使われるが, このジャッキは運搬移動中には使用されずに縮められている。 キットではジャッキが伸張した状態でパーツ化されている。





というわけで適当に手を加えてみた。 一部のディテールには エデュアルドのエッチング(22058 Karl railway gun) を使っている。 ただし製作を始めたのはこのエッチング・パーツが発売される前で, 既にかなりの部分は自作パーツで製作を進めていたのと, 厚みやボリュームから考えてエッチングを用いるのは適切でないと思えるパーツも多かったため, 実際に使ったのは全パーツのうちの4分の1以下ぐらいである。 (最近のエッチング製品を見ていると, なんでもかんでもエッチング・パーツに置き換えさせよう, というような風潮があるのではないかと思うことがしばしばある。)

■台車

基本的に車輪回りには手を加えていない。 台車左右の折りたたみ式作業デッキ(?)が,キットでは片側分しかパーツがないが, 実車では両側面についているので,キット・パーツを参考にして自作した。 台車前後端の形状と手すりなどのディテールを修正。 キットはどうやら 一般的な貨車やレオポルド列車砲の台車に倣ってこのあたりを設計してしまったのではなかろうか。 大型の箱は2台の台車で高さが異なる上, キットのパーツは抜きテーパーがついていたり,蓋の縁にアールがついていたので作り直した。 カールを搭載していないときに前後の台車を連結する太い2本の棒は, 使わないときは一方の台車の側面に載せられている。 キットでは両方の台車に取り付けるように指示があるがこれは間違い。 台車上面の滑り止め表現は,エデュアルドのエッチング・パーツである。 こうした部分はエッチングのありがたみが感じられる部分だと思う。 滑り止めパターンが,戦車でよく見られる物と異なり見慣れないタイプだが, これで正しいようだ。

■アーム部

キットで実車にはない不思議な底板(?)のようなパーツがあったり, その反面省略されているケタ類があるので修正した。 アーム内側には一切モールドがない。 追加工作をしようとすると大量のリベットを打たなければならなくなるので, 潔く無視した。 エデュアルドはアーム表面の補強板(?)の一部をエッチングで用意してくれているが, これはありがたい配慮である。 というのは,ハセガワのパーツではこの部分にヒケがかなりあって, これを修正するには表面のリベットが一度削り落としてからヒケを埋め, その後にリベットを再現しなければならず, かなり面倒な作業を強いられることになるのである。 ヒケのある部分を一気に削り落としてエッチングを張ってやるだけで修正できるのであるから 実に手軽である。

■アーム支持柱

この部分はキットは実車とかなり違ってしまっているので, 気合を入れて自作してみた。 エデュアルドのエッチングでもこの部分は丸ごと作り変えるようになっているのだが, 実車はこの部分は鋳造部品が多用されており, エッチング・パーツではいかにも薄くてボリューム不足であると思う。 実車写真と トランペッターの1/35キット などを参考に適当にプラ板を使って作ってみた。 完璧に正確とは言い難いが,キットのパーツそのままよりはかなり見栄えがよくなったと満足している。


■全形


■メーカー・サイト■

Hasegawa


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Created: Tuesday August 15, 2006
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