■カールの最後■
Jentz本(資料[37])
を基本とし,その他の未確定な情報も含めてカール臼砲7門の最後についてまとめた。
- I号砲
- II号砲
1944年末ごろI号砲から部品取りをして整備した後西部戦線に投入され,
最後は米軍に捕獲された。
この時の写真は資料[37]にあるが,
あまり状態はよくなかったように見え,
もしかすると稼動状態ではなかったのかもしれない。
連合軍の攻撃で損傷したか,
ドイツ軍自身の手により破壊されていたのか…
右の写真は1941年ごろに撮られたと思われる,
専用貨車への積載作業手順を記録した一連の写真の1枚である。
誘導輪が上のI号砲の完成時ものとは異なる新型である。
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- III号砲
砲身内での暴発(?)で全体の50%以上が損傷して使い物にならなくなっており
(資料[37]),
補修,再生は行われないまま終戦を迎えたと思われる。
最後はJueterbogにあったのではないかと考えられ,
その場合にはソ連軍が入手した可能性もある。
右は多くの資料に登場する有名な写真である。
資料[37]
では1941年のブレスト・リトフスク戦時のIII号砲とされている。
同じ時期に撮られたと思われる操縦主席側から見た写真が残されており
(資料[32]
[40]),
確かにその写真では車体に「3」と大きくマーキングがある。
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- IV号砲
1944年末に540mm砲に換装されたうえ西部戦線に投入されたが,最後はソ連軍に捕獲された
(ソ連軍による写真は資料[18]
[38]
[52])。
ただしどこで捕獲されたかは不明。
捕獲時には600mm砲身を装着していた。
車体に"IV"のマーキングがあるのも確認できる。
しかし,駐退器には"Thor"のニックネームは描かれておらず,
捕獲前に消されていたようだ。
資料[37]
によれば,
ドイツ側の記録ではIV号砲は1945年3月の時点では540mm砲をつけていたとあるので,
その後また600mm砲身に換装されたのだろうか。
なおロシアやポーランドなどの東側の文献では,
この車両をThorではなくOdinと呼んでいる場合がある。
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- V号砲
1944年末から1945年初頭ごろ540mm砲に換装されたうえ西部戦線に投入された。
最後は連合軍の爆撃もしくは砲撃を受けて大破し米軍に捕獲された
(資料[37])。
捕獲時の写真は資料[27]
[37]
[89]などにある。
損傷の度合いは激しく,エンジン・ルームが完全に破壊され,
エンジン,トランスミッションがスクラップ状態になっていた。
V号砲を搭載していた輸送貨車も壊れており,
移動できなくなっていたと思われる。
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- VI号砲
ワルシャワ戦の後に砲身の摩耗のため,
I号砲の600mm砲身と砲架を持ってきて共食い整備が行われた
(ただし時期は不明)。
1944年末ごろから西部戦線に投入されたが,
エンジンのトラブルで1945年3月頃にドイツ国内に戻され,
Jueterbogで整備を受けている
(資料[37])。
最後はソ連軍に捕獲された
(ソ連軍による写真は資料[37]
[38]など)。
Kummersdorfで捕獲されたとの説もある。
クビンカに残る車両はこれだと言われている。
右の写真は1944年8〜9月のワルシャワ蜂起の鎮圧に用いられた際のもの。
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- VII号砲
この車両はエンジンなどの部品の不足のため,完成される事はなかったが,
540mm砲の試験用にHillerslebenに置かれていた
(資料[37])。
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米軍がII, V号砲を捕獲したことははっきりしており,
かつ上述のように捕獲時の写真が存在する。
両方ともダメージを受けており,良い状態ではなかった。
ところがこの他に,外見上きわめてきれいな状態で米軍の手に落ち,
アバディーンに持ち帰られた車両が存在するのである
(資料[37])。
下の写真は,回りの状況から見てアバディーンで撮影されたと思われる
(資料[4]
[52]
[65]
[83]
[94],
ただしこれらの資料では撮影場所がアバディーンであるとは明記していない)。
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これは11転輪車台であることからIII〜VII号砲のいずれかであるはずだが,
大破して捕獲されたV号砲ではありえない。
またIV, VI号砲はソ連軍が捕獲しており,
III号砲は修理不能なぐらい破損していたことから,
本車はHillerslebenにあったVII号砲なのではないかと推測される。
この車両はアバディーンに持ち帰られたあと,1950年代にスクラップにされたらしい。
米軍はカール本体とともに,IV号弾薬運搬車も少なくとも1両捕獲していたが,
それもまたスクラップにされてしまったそうである。
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米軍はまた,カールに関するマニュアルなどの書類や資料も入手していたらしく,
もしそれらが今後公開される事があれば新たな事実の発見も期待できるのではないだろうか。
結局行方が全く不明なのは,I号砲の車体,
ほぼスクラップ状態のIII号砲,VI号砲の(使い物にならない?)600mm砲身と砲架,
IV号砲用の540mm砲身, V号砲用の600mm砲身,I号砲用の540mm砲身である。
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