■CMK/エアモデル 1/35キット■

RA001/AM-1060
Moersor Karl - early chassis
RA002
Panzerkampfwagen IV Munitionstraeger fuir Karlgeraet
RA004/AM-1064
Moersor Karl - late chassis
RA005
German Railway Carrier for Self Propelled Karl Moersor

砲身は600mmと540mmの選択式,シャーシも2種類用意し, 移動用貨車(RA005)や弾薬運搬車(RA002)もキット化するなど 積極的にカールをプッシュしてきたCMKだが, インジェクション・キットが3社から発売される事態となって, これらのキットも絶版になってしまうのだろうか。

カール本体のキットであるRA001とRA004はCMKとエアモデルの2社から販売されている(いた)。 エアモデルでの型番はそれぞれAM-1060, AM-1064である。 ただし2003年3月現在エアモデルのサイトのカタログにはどちらも掲載されていない。

RA001/AM-1060が8転輪車台,RA004/AM-1064が11転輪車台である。 足回り以外の部分は全く共通となっている。 RA001/AM-1060では転輪とキャタピラはインジェクション・パーツで, 砲弾装填トレイの一部などがエッチング・パーツとなっている。 RA004/AM-1064では転輪,キャタピラはともにレジン製である。

RA001/AM-1060もRA004/AM-1064も,発売当初は, 砲身はアルミ製で,エッチング・パーツに砲身のライフリングが含まれていた。 現在は砲身もレジン製となりライフリングのエッチングも省略されてしまっている。 当方が所有しているものは, RA001/AM-1060については砲身がアルミ製の初期の版とレジン砲身の版の両方 (写真はレジン砲身版), RA004/AM-1064はレジン砲身版である。

車体や砲架の形状に誤りが見受けられるため,これを全部修正して組むとなると結構大変だと思う。 またRA001/AM-1060に関してはキャタピラ,転輪に特に苦労させられそうである。


■製作記■

ドラゴンやトランペッターがインジェクション・キットを発売している現在(2006年秋), CMKのレジン・キットを作る意義はほとんどないのですが, 作らずに積んでおくのももったいないので手をつけてみました。 製作したのは8転輪シャーシのRA001です。 上述のようにこのキットには, 金属砲身が同梱された初期の版と,砲身がレジン製に改められた改訂版がありますが, 作ったのは改訂版の方です。

キットには車体や砲架の基本形状に誤りがあったりしますが, 作るにあたっては徹底改修などはしないこととし, さらに,「細かいところには目をつぶる」「とにかく形にする」「楽をする」 ことを目標にしました。 そうでないとモチベーションが保てないと思ったからです(笑)。 手間を惜しんで楽をするために, 下記のパーツを利用しました。

いずれもCMK用ではなく, Aber以外のエッチングは全てドラゴンのキット用ですが, CMKとドラゴンのキットは双子とも言えるほど似通った構成とパーツを持っているため, 使ってみると驚くほど「ピッタリ」と合いました。

CMKのRA001は8転輪シャーシのキットなので, 上記のJP Hobbyのコンバージョン・キットや アトリエ・インフィニティのレジン製履帯は本来使わなくてもすみそうなものですが, CMKの転輪,履帯などの足回りのパーツは簡易インジェクション製で, バリがひどく表面のモールドも耐え難いほどだるいので(下写真参照), 修正して使う気力がなく, 潔く他社のパーツを使うことにしました (これらのパーツも本サイトでレビューした後すぐに使う予定もなくストックしてあったものです)。




右:CMK簡易インジェクション・パーツ
左:JP Hobbyパーツ

スコップなどのOVM,ノテック・ライト, 照準器などは一応CMKのキットにもレジン製パーツが含まれてはいますが, 出来がよくないのでインジェクション・パーツを流用しました。 照準器パーツはタミヤのパーツ以外にも,

  • AFV Club, AC35006 ドイツ軍光学照準器セット
  • Tiger Model Design, #352085 Sig.33/10.5cm Sight
などを利用することもできるでしょう。 Tiger Model Designのパーツはタミヤ,AFV Clubのに比べてオーバー・スケール気味ですが, ディテールは一番豊富です。 なお照準器のパーツのみのためにヴェスペのキットを一つつぶしたわけではありません(笑)。 Bランナーのみパーツ請求してみました。

CMKの起動輪とアトリエ・インフィニティの履帯の相性は悪く,起動輪の幅を少しつめたり, 歯を一度切り取って付け直したりして調整しました。 もともとCMKの起動輪の歯の数は15枚で, 実車の17枚に比べて少くて歯のピッチがおかしいので, 他社の履帯がピッタリ合ったりするわけもありません。

基本形状を修正せずにディテールを追加工作してみても意味がない, という考え方もあるかもしれませんが, 形状もおかしいは,ディテールも何もないは, ではそれこそ目も当てられないと思うので,少しはお化粧をしてあげたということです。



一部サーフェーサーや下地色を吹いてあったりしますが, 基本的に写真でクリーム色の部分がCMKのレジン・パーツ, グレー・グリーンはJP Hobbyのパーツ, 黒いエッチングはEduard製, こげ茶というか銅色のエッチングはPART製です。 CMKのキットにもエッチング・パーツはあるのですが, あまり出来も良くないように思ったのでほとんど使っていません。 その他プラ材や真鍮線を使って省略されたり不満足なディテールを追加したり修正したりしました。 あまり手間をかけるつもりもなかったので適当ですけど。


こちらの写真はサーフェーサーを吹く前です。 砲身のライフリングはPARTのパーツです。 キットでは一応レジン製の砲身の内側にライフリングのモールドがつけられていましたが, 削り取ってエッチングに置き換えました。 砲身の上側の「眉毛」とも言うべき横長の突起が小さくて目立たなかったのでプラ材で大型化。 表面に鋳造のザラツキを適当につけました。 実車では鋳造の構造物の表面を研削できれいに平らに加工してある部分もあるので, テクスチャをつける範囲には注意しました。


揺架部分
ロッド類はどうしてもレジン・パーツでは歪んでいたり, 成型に不満があるので,プラ材,真鍮線を使って適当に置き換えています。 また省略されているディテールも一部追加してみました。


砲弾装填トレイ
砲弾装填用トレイにも適当にディテールをつけたり, 一部形状の修正をしました。 本当はローラーの位置などもおかしいのですが目をつぶりました。


車体前面
ノテック・ライトはタミヤのパーツ。 その屋根(?)はPARTのエッチング。 実車ではノテック・ライトの配線はフェンダー下側にあり, しかもご丁寧に薄い金属板で保護されています。 本当にこだわるならそこまで再現してみたいものですが…。

梯子は真鍮線を半田付けして自作しました。 一部ゆがんでいるところもあるのですが, これでも一応ジグを作って精確にしようと努力はしたのです。 単に気合と気力が足りずやっつけ仕事になってしまった, というおはずかしい結果です。


車体後面
車体後面には工具類がひしめいているなど,けっこう作り甲斐のある部分です。 スコップなどの工具はタミヤのパーツを利用したり,適当にプラ材ででっちあげました。 クランプはABERのエッチングです。 これらの工具物以外にも,実車ではツルハシ,バールなどが搭載されていました。 適当なスペア・パーツが見つからなかったので省略しましたが, クランプや取付金具などは再現しました。 こうして見ると,よく指摘されることではありますが, ABERのクランプはオーバースケールであることがよくわかります。 よく見えませんが梯子の陰には間隔表示灯と尾灯があります。 これらのライトの電源コードがどこにあるのかはよくわかっていません。 ライトの真後ろから車内に引き込まれているのかもしれません。

(つづく)


■メーカー・サイト■

Czech Master's Kits

Airmodel Products


■レビュー,製作記事■
  1. モデルアート, No.488, 4月号, 1997.
    モデルアート, No.490, 5月号, 1997.
    モデルアート, No.492, 6月号, 1997.
    モデルアート, No.496, 8月号, 1997.
    モデルアート, No.498, 9月号, 1997.
    モデルアート, No.504, 12月号, 1997.
    転輪が8個のRA001のキットを転輪11個に改修し(キャタピラは当然作り直し), 各部を徹底的にディテール・アップした力作。 IV号弾薬運搬車はCMKのキットではなく自作。

  2. Military Armor International, No.6, 1999.
    Military Armor International, No.7, 1999.
    Military Armor International, No.8, 2000.
    Military Armor International, No.9, 2000.
    フランスの模型誌。RA001 8転輪タイプ(No.6),RA002 IV号弾薬運搬車(No.7), RA005 移動貨車(No.8),ダイオラマ(No.9)。

  3. Military Vehicle Modeller International, No.7, Guildhall Leisure Services Ltd, 2000.
    Military Vehicle Modeller International, No.13, Guildhall Leisure Services Ltd, 2001.
    Military Vehicle Modeller International, No.15, Guildhall Leisure Services Ltd, 2001.
    イギリスの模型誌。RA001 8転輪タイプ(No.7),RA002 IV号弾薬運搬車(No.13), RA004 11転輪タイプとRA005 移動貨車(No.15)。

  4. One35th Modeling Homepage
    http://www.one35th.com/index.html

  5. Tank Modelerz Online
    http://www.ne.jp/asahi/tank/modelers/

    RA001の製作記。540mm砲身をつけた作例は珍しい。

  6. http://www.panzer-modell.de/berichte/karl-1/karl.htm
    ドイツのサイト Panzer modellbauに発表されたレビュー記事。 RA001の作例。 1944年当時の,540mm砲身を装着したI号砲Rexとして製作されている。

  7. CMK - Morser Karl - Late Version - Review
    Track-Link に発表されたレビュー記事。


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Created: March 2, 2003
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