■アクセサリー&ディテール・アップ・キット:履帯■


  • アトリエ・インフィニティー1/35連結可動履帯


    35-006 ゲレート040/041用履帯パチパチキット


    35-006 ゲレート040/041用履帯パチパチキット
    (2005年4月発売)

    1/35のカールの履帯としては最初の製品である。 レジン製連結可動式。 11転輪シャーシを持つ ドラゴンのキット用の240mmピッチ履帯となっている。 「パチパチ」と連結するだけで完成するところが売りである。

    湯口が一箇所あるため,これを除去する必要があるのが鬱陶しいが, ニッパーできり飛ばして切り口を軽くヤスリがけすれば済む程度である。 当方が入手したものに関してはパーツに欠けや成型不良などはないようだが, 小さな気泡があるものがあった。 バリが若干あるパーツがあるので,歯ブラシなどで擦って除去しよう。

    大きさはキット付属の連結固定式履帯のパーツと一致する (しかし下の写真でわかるようにキットのパーツのコピーではない)。 このためキットの足回りに一切変更や調整をすることなく使えるのはよいのだが, ドラゴンのキットの履帯パーツは実車よりも幅が広い(約16.5mm,実車は500mm/35 = 14.3mm)ので, アトリエ・インフィニティーの製品も寸法的には正確とは言えなくなってしまっているのは残念。 キットのインジェクション・パーツでは金型の関係で再現が難しかったガイド・ホーンの穴は, この製品ではきちんと再現されている。 側面には連結ピンの頭部がモールドされている。 しかしカールの場合,連結ピンは履帯からはみ出ておらず, 逆に履帯側面には穴が開いているのでこれは誤りである。

    総じて,ドラゴンのキットのパーツを少しだけ改良しました,という趣が強い製品である。 したがって,可動である,という以外にメリットはあまりないと考えたほうがよい。

    なお,履帯幅を間違っているドラゴンのキットに寸法を合わせてある関係で, トランペッターのキット に使おうとするとスプロケット・ホイールとは合いがきつい。 そのままで全く合わないわけではないが, スプロケット・ホイールの2つのパーツの間に0.3〜0.5mmぐらいプラ板を挿んで, 幅を広げるか, 履帯側の穴を広げた方がよいと思われる。 またたとえそうしたとしても,フェンダー幅と履帯幅とのバランスはあまり良くない。

    履帯については 「カールの履帯」も参照のこと。

    ■レビュー記事■

    1. http://www.perthmilitarymodelling.com/reviews/vehicles/atelierinfinite/at35006.htm
      Perth Military Modellig Site に掲載のレビュー記事。


    左:ドラゴン,右:アトリエ・インフィニティー

    3社比較


    ドラゴンのキットに装着した状態


    トランペッターに装着した状態 ドライブ・スプロケットとの嵌め合いがきつい

    (記2005年4月)



    35-007 カール初期型履帯パチパチキット

    35-007 カール初期型履帯パチパチキット
    (2005年7月発売)

    トランペッターの8転輪車台のキット(00208) 用の170mmピッチの履帯セット。 8転輪車台用の履帯は, 11転輪用のものと比べるとピッチは異なるが幅は同じで, 表面のパターンも略同である。 ただしガイド・ホーンには穴はない (「カールの履帯」参照)。 トランペッターのキットの履帯はかなり硬い材質のポリ製でたるみをつけるのが難しいため, 本製品はありがたい。

    成型状態や表面のディテールは, 上述のドラゴンのキット用の11転輪用履帯とほぼ同等の出来である。 トランペッターのキットに合わせた関係で, 幅は今度は正しく500mmに作られている。 連結ピン用の穴が両側面に浅くモールドされている。 実車でははっきり「穴」であることが見えるので, 気になるならピンバスですこし加工する必要がある。




    左:トランペッター,右:アトリエ・インフィニティー

    (記2005年7月)


  • ライオンマーク・モデル・デザインズ(旧アーマー・ワークショップ)1/35連結可動履帯


    AW-70005 1/35 Karl Morsel (DML) Track Links



    AW-70005 1/35 Karl Morsel (DML) Track Links
    (2005年7月発売)

    ドラゴンのキット用の240mmピッチの連結可動式履帯である。 レジン製の履帯205枚と真鍮製連結ピン205本がセットになっている。 アーマー・ワークショップが販売している履帯は, レジン・パーツの湯口などの処理がなされており, 連結ピンも必要な長さにあらかじめ切断されているので, すぐに組み立てられるのが利点であると宣伝されているのだが, ネット上ではパーツの成型状態や精度について賛否両論の評価がある。

    当方が入手したものでは,バリや成型不良のあるパーツが散見された。 また連結ピンの穴については,ピンのとおりがスムーズにいかない場合があったり, 穴が貫通していないもの,斜めに開いていたり位置がずれているものがある。 このため連結する前に一度線を通して試したり, 穴を開け直す必要がある。

    必要な履帯の枚数は実車では片側94枚であるから, セットに含まれている枚数にはある程度余裕があると思われるが, 成型や穴の不良品をすべて気前良く捨ててしまうと足りなくなりそうである。 修正可能なものは極力直して利用せざるを得ない。

    連結ピンと履帯のはめ合いはタイトなので,特に瞬間接着剤などで止めなくても大丈夫そうである。

    ガイド・ホーンに穴が開いているなど一部改良点はあるものの, 形状や寸法はドラゴンのインジェクション・パーツに酷似している。 同じものをモデル化したのだから似ているのは当然という考え方もあるが, ドラゴンのパーツは幅が不正確(約16.5mm,実車は500mm/35 = 14.3mm)であったりするので, 正確さを追求するならもう少しなんとかしようがあったのではないかと思うのだが。

    連結ピンは履帯の幅ピッタリになっているので, 組み立てるとピンの端がちょうど履帯横の表面に来る。 実車ではピンは奥まった位置にあるので (ここに掲載の写真参照), 正確を期するならピンを少し短く切ってみると良い。

    本製品はドラゴンのキット用なので, 基本的にはトランペッターのキットには適合しない (ただしアトリエ・インフィニティのレジン製240mm履帯と同様に, 少し無理をするか起動輪に少し手を加えるなどすれば一応使えなくもない)。

    履帯については 「カールの履帯」も参照のこと。

    ■レビュー記事■

    1. http://www.perthmilitarymodelling.com/reviews/vehicles/lionmarc/aw70005.htm
      Perth Military Modellig Site に掲載のレビュー記事。


    左:トランペッター,右:ライオンマーク

    ドラゴンの起動輪に装着した状態

    トランペッターの起動輪に装着した状態

    (記2005年7月)



    CL30006 Karl Morsel Track link (170mm pitch for Trumpeter)


    CL30006 Karl Morsel Track link (170mm pitch for Trumpeter)
    (2006年1月発売)

    トランペッターの8転輪車台のキット(00208) 用の170mmピッチ履帯セット。 アトリエ・インフィニティの170mmピッチ履帯 に続いて二つ目の製品ということになる。 ライオンマークのこれまでの連結式履帯製品では (例えばドラゴンの11転輪車台のカール用240mmピッチ履帯のAW-70005) レジン製のリンクを金属ピンで連結するようになっていたが, 今回のものは(流行りの?)クリック連結式となっており, レジン素材の弾性を利用して,リンクをパチパチと嵌め合わせてゆけばよいようになっている。 リンク270枚がセットになっている(実車では片側133枚)。

    成型状態はかなり良い部類に入ると思う。 湯口も始めから取り除かれているので処理の必要もない。 当方が入手したものには気泡や成型不良などは見当たらなかった。 しかしほとんど全てのリンクでスプロケットの歯が入る穴部分が薄いバリでブロックされていた。

    写真からわかるように, 本製品とアトリエ・インフィニティの製品, トランペッターのベルト式履帯を比べると, 幅とピッチは一致するが表面のモールドには微妙に違いがある。 筆者としては, 実車の写真と比較するとアトリエ・インフィニティの物がより正確であるように思う。 さらに,ライオンマークの製品はセンター・ガイドに穴が開いた形に作られているのだが, これは実車にはないため,全くの誤りであるのは残念。 11転輪シャーシ用の240mmピッチ履帯ではここに穴があるのが正しいので, ライオンマークは何か勘違いしてしまったのだろうか。

    ■レビュー記事■

    1. http://www.perthmilitarymodelling.com/reviews/vehicles/lionmarc/cl30006.htm
      Perth Military Modellig Site に掲載のレビュー記事。


    左:トランペッター,中央:ライオンマーク,右:アトリエ・インフィニティ

    左:トランペッター,中央:ライオンマーク,右:アトリエ・インフィニティ

    (記2006年1月)


  • フリウル・モデル1/35連結可動履帯
    (2006年1月発売)

    まさに待望の,と形容しても良いのではないだろうか。 私を含めて多くのモデラーが待ち望んでいたと思われる, フリウル製のカール用メタル製連結可動式履帯セット2種である。

    どちらの製品の形状も実車写真と比較してみるとかなり正確であるように思われる。 側面の連結ピン穴部もそれらしい。 240mmピッチのパーツについてはクビンカの実車を取材したのであろうか。 成型状態はフリウル製品の標準的な出来である。 一部バリ(湯口部分や240mmピッチ履帯のガイド・ホーンの穴部など)が残っているものがあるので, 組立前に少し整形が必要である。

    フリウル製品の常で,車体左右用のパーツが別々に袋詰めされている。 連結用の金属線を差し込む穴がある方が車体側, 連結ピン穴がモールドで再現されている方が車体外側になるようにする。 箱表面には梱包されているリンク数が印刷されているが, 実際にはそれよりも余計に入っている。

    履帯については 「カールの履帯」も参照のこと。


    ATL-84 Karl Moerser - Early
    ATL-84 Karl Moerser - Early
    まずこちらは 8転輪シャーシのトランペッターのキット(00208) 用の170mmピッチの履帯セットである。 アトリエ・インフィニティライオンマーク・デザインの製品と比べた場合, ライオンマークに勝り,アトリエ・インフィニティとは甲乙つけ難い, といったところだろうか。 連結の手間の少ないアトリエ・インフィニティ製品を選ぶか, メタル製のフリウル製品を取るか,好みが分かれそうである。



    ATL-85 Karl Moerser - Late
    ATL-85 Karl Moerser - Late
    こちらは11転輪シャーシ用の240mmピッチ履帯セット。 アトリエ・インフィニティライオンマーク・デザインの製品が, ドラゴンのキット に合わせようとした結果,幅が不正確になってしまったのに対して, 本製品では幅約14.5mm(リンクによって若干の個体差あり)となっており, 実車寸法(500mm,1/35で約14.3mm)にかなり忠実である。 このためドラゴンのキット に使おうとすると,スプロケット・ホイールの幅を少し狭めないと嵌らない。 11転輪シャーシのトランペッターのキット(00209) には修正の手間なく使うことができる(写真参照)。 ピッチは実車の240mm(1/35で約6.88mm)に対して約7mmで再現されている。

    正確さの問題を別にしても, アトリエ・インフィニティとライオンマークの製品は トランペッターのキットに装着するとバランスが悪いので, トランペッター用としては実質上本製品が唯一の選択肢となると言ってよい。

    トランペッターのキットに使う場合でもドラゴンのキットで使う場合でも, 必要枚数は片側90枚+αぐらいになりそうである。

    ■レビュー記事■

    1. http://www.perthmilitarymodelling.com/reviews/vehicles/friulmodel/atl-85.htm
      Perth Military Modellig Site に掲載のレビュー記事。


    各社製品比較
    幅,ディテールの違いがよくわかる

    トランペッターの起動輪にはピッタリ合う

    ドラゴンの起動輪にはそのままでははまらない

    (記2006年1月)


  • スペイド・エイス1/35連結可動履帯


    SAT-35146 Morser Karl-Gerat Late
    SAT-35146 Morser Karl-Gerat Late
    (2012年1月発売?)

    香港の新興メーカー(?) スペイド・エイスによる金属製連結式可動履帯。 100を超える製品が一気に出てきたので驚いたのだが, どうも会社としては以前から活動しており, 海外に知られるようになったのがつい最近, ということのようである。

    11転輪シャーシ用の240mmピッチ履帯セットである。 フリウル製品と同じく, 金属ワイヤで連結するように設計されている。 パッケージには, 特にドラゴンのキット用とも トランペッターのキット用とも 指定がない。 また,リンクが何枚入っているかも記載されていないが, 大体190枚ぐらいはあるようである。

    左の写真でわかるように, 表側は トランペッターのキット(209, 215) 付属のベルト・キャタピラと比べると, モールドも深く,よく実車の雰囲気を再現している。 裏面は各社でセンターガイドの大きさが異なっており, トランペッター(209, 215) フリウル, スペイド・エイスの順に高さが低くなっている。 実車がクビンカに残っているとはいえ, 寸法は公表されていないので, どれが一番正確かはよくわからない。

    なお,スペイド・エイスについては, ネット上の口の悪いモデラーの中には, フリウル製品のコピー・メーカーに違いないと決めつけている輩もいたが, このカール用の履帯についてはコピーではないし, また同社はフリウルが製品化していない履帯も発売しているので, コピー・メーカー呼ばわりするのは謂れのない誹謗中傷であろう。

    履帯については 「カールの履帯」も参照のこと。

    (記2012年3月)


  • トランペッター1/35連結可動履帯
    (2012年7月発売)

    トランペッターは, 2011年頃から新製品のAFVキットの履帯を連結可動式にしたり, ベルト式や連結非可動の履帯が付属している既存のキット用に 別売りのプラ製連結可動式履帯を発売し始めた。 トランペッターの1/35キット は履帯が弱点であるだけに, 純正のオプション製品の発売は喜ばしい。

    履帯の両側からピンを刺して連結する「モデル・カステン方式」を採用している。 組立用のジグが用意されている点もモデル・カステンと同様である。 カールの場合, 履帯の連結ピンは外には飛び出ないので, ピンをよく押し込んで組む必要がある。

    フリウルスペイド・エイスの金属製履帯 もよいが, プラ製品はやはり手軽である。

    なおトランペッターの連結可動式履帯の一部のものは, 金型や成型の精度が十分でなかったり, ピンの長さが短いために, 組みにくかったり, 外れやすかったりするものがあるが, 下記のカール用の2製品については問題ないようである。

    履帯については 「カールの履帯」も参照のこと。




    02053 KARL Early Track Links
    02053 KARL Early Track Links

    まずこちらは 8転輪シャーシのトランペッターのキット(00208, 00215) 用の170mmピッチの履帯セットである。 幅は実車の500mmに対して約14.6mm, ピッチは約4.85mmで, 幅は若干大きいが, ピッチは正確に再現されていると言える。 形状やディテールはキット付属のベルト式履帯と全く同じかというとそうでもなく, 表面のリブの彫刻が深くなっており, 改善されている。 残念なのがセンター・ガイドで, キットのベルト式履帯と変わっておらず, 実車写真と比べると少し背が高いようである。

    箱裏の説明では片側135枚が指定されているが, パーツとしては288枚分が入っているので十分余裕がある。 (実車での枚数は, 資料[37] によれば片側133枚。) ピンのパーツにも余分がある。


    各社比較:左からトランペッター(00208),
    トランペッター(02053), アトリエ・インフィニティ,フリウル




    02054 KARL Late Track Links
    02054 KARL Late Track Links

    こちらは 11転輪シャーシのトランペッターのキット(00209, 00215) 用の240mmピッチ履帯セットである。 幅約14.6mm,ピッチ約7.2mmとなっており寸法的には幅, ピッチともに若干大きめである。 パーツとしては190枚分が入っている。 箱裏の説明では片側88枚との指定になっている。 実車での枚数は 資料[37] によれば片側94枚なので, 指定枚数の方が6枚ほど少ない事になるが, これはピッチが実車に比べて大きめなためと思われる。

    造形的には表側は問題ないが, 残念ながらセンター・ガイドに穴が開いていない。 丸い凹みがわずかにモールドされてはいる。 カールの240mmピッチ履帯の場合, センター・ガイドの丸穴は大きな特徴なので残念である (ドイツ戦車の履帯でセンター・ガイドの穴が丸なのは他に例がないと思う)。 地道にピンバイスで穴を開けてやろう。


    各社比較:左からトランペッター(00209), トランペッター(02054), スペイド・エイス,フリウル(黒染め済)

    (記2012年8月)


■メーカー・サイト■

アトリエ・インフィニティー

フリウル・モデル

LionMarc Model Designs

スペイド・エイス・モデル

トランペッター


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